ふたつの治療院 Mitra HermitageとVaidyagrama

今回訪れたふたつのアーユルヴェーダ治療院を、アトピー治療の観点から比較。

1. Mitra Hermitage Ayurveda Hospital (Trivandrum)
1994年創立、Dr.Maheshと奥様が運営している家族経営のアーユルヴェーダ治療院。ドクターは、ご夫妻の他にアシスタントのDr.LakshmiとDr.Devika。セラピストは女性9人、男性5人でトリートメントルームは6部屋。最大の患者数はだいたい20人くらい。こちらの最大の特徴は、受けられるトリートメントの豊富さ。毎日午前午後合わせて2回のトリートメントがあり、2,3週間の滞在で主なマッサージとクレンジングトリートメントを受けることができる。内容はAyur clothさんのブログに詳しい(ちなみに、彼女のブログのお陰で日本人患者が大幅に増えたとのこと)。患者はドイツ、オーストリア、スイス、フランス、日本からが多く、20代から80代まで満遍ない。自分が行ったときはひとり旅の若者とヨーロッパ人の老夫婦が多かった。

交通
トリバンドラム空港からタクシーで20分ほど。


価格
部屋は25ユーロと35ユーロ/日。
トリートメントは50ユーロ/日。持ち帰る薬代は別。トータルで80-90ユーロ/日くらい。

環境
トリバンドラム郊外の住宅地の一角。コバラムビーチに抜けるバイパスに近いのと、離着陸する飛行機のルート直下で少し騒々しい場所柄。近所の散歩には不適。トリバンドラム市街までトゥクトゥクで約20分、コバラムビーチまで15分ほどなので、買い物や観光には便利。
治療院の中はきれいな庭があり静かで落ち着く。ハンモックもあり。部屋は清潔で快適。低価格のランドリーサービスがあり、洗濯は不要。
ただ、治療院な部屋が取れない場合ののホームステイ先は、掃除が行き届かず不快感があったので注意。

治療とトリートメント
ドクターの診察は初めと終わりの2回、加えて毎日2回のアシスタントドクターの回診があり、それを踏まえて治療内容が決められる。アトピー患者も多いそうで(ほとんど日本から)、治療経験も豊富。
自分のアトピーに対しては、マッサージではごま油によるアビヤンガマッサージとオイルバス、バターミルクによるTakradhara、排出術ではVirechanaとVastiの効果が高かったと感じた。
セラピストはよくトレーニングされており、腕は確か。ただ、若いほどマッサージの際の力が小さく、手を抜いている感じはあった。ちょうど患者の多い時期で、さすがに重労働なのだろう。
排出系の施術に関しては、14日間以上のトリートメントなら少なくともナスヤ、ヴィレチャナ、ヴァスティの3つを受けることができるようだ。

食事
ベジタリアンでありながら患者を飽きさせない工夫を凝らした美味しい料理が出される。また、患者の状態ごとにドクターの指示で主食やカレーに違いがつく。
あえて難を言えば強い辛味、濃い味つけ、味の素のような過剰な旨味、精製された小麦を使ったパスタ、祭日の肉料理、生野菜など、アーユルヴェーダでは必ずしも良しとされない食材もときに使われること。アーユルヴェーダ料理というよりは、ベジタリアンの南インド料理と言った方が近いかもしれない。おわかりが可能で食べ過ぎの危険もあり。個人的にはVaidyagramaの素朴な食事の方が好みだった。

ホスピタリティ
ドクター、セラピスト、スタッフ皆がフレンドリーで礼儀正しい。患者の要望に、できるだけ応えようとしてくれる。

アクティビティ
Virechanaが終わった後から朝のヨガクラスへ参加できる。治療期間に合わせて無料回数が決まっているが、一回Rs.500で追加も可能。

アトピーへの治療効果

21日間のパンチャカルマで大きな効果を感じた。詳細はDay21のまとめ


総合コメント
本格的なパンチャカルマのトリートメントが心地の良い環境で受けられる。客層もひとり、カップル、家族等多様で、誰でも違和感なく馴染めると感じる。
唯一注意が必要なのは、人気がある時期は部屋の予約が取れず断られることがあること、また、トリートメントが可能でも治療院の外にホームステイする可能性があること。ホームステイ先は独立棟だが、掃除が行き届かず虫や不潔さに悩まされた。もし治療院に部屋が取れない場合、神経質な人はやめた方がいいかもしれない。10月から3月は繁忙期なので2,3ヶ月以上前の予約が望ましいとのこと。



2. Vaidyagrama (Coimbatore)

2008年創立。
Coimbatore郊外の荒地にぽつんと佇む治療院。アーユルヴェーダの理念に沿って、環境から生活全般、食事、トリートメント、アクティビティがストイックに提供されている。化学薬品や使い捨てのものは提供されないので、シャンプーやトイレットペーパー、蚊取り線香、殺虫剤は用意されない。
トリートメントで使う薬は自社工場で作られており、外販もしている。
3名のドクターがそれぞれのブロックの患者を担当、各ドクターに2名のアシスタントドクターがつく。3ブロック計で患者数はだいたい50人くらいか?ちなみにスタッフの総数は140名とのこと。ざっくりMitraの3倍の規模。

交通
コインバトール空港からタクシーで約1時間、コインバトール市街、鉄道駅から30分ほど。

価格
部屋と3回の食事、1日1回のナスヤ+アビヤンガマッサージで合計75ドル/日だった。パンチャカルマ治療の場合、値段はトリートメント内容により変わるそうだが、基本的に1日1トリートメントなので、大きくは変わらないはず。持ち帰りの薬代は別途支払い。

環境
広大な敷地に宿泊棟、トリートメント室、オフィス棟、診察室、アクティビティホールが点在、それが渡り廊下で結ばれ、建物と建物、渡り廊下の間には沢山の樹や薬草が植えられている。治療院というよりは、リゾートスパのようなつくり。建築素材も極力天然の木、レンガ、石が使われ、心地よい空間。外界との接続を極力減らし、治療に専念できる環境づくりが行われている。インターネットへの接続は有料で、使用ごとにバウチャーを購入する。
母屋の部屋が満室の場合、徒歩5分ほどのコテージに宿泊する。清掃等の管理はすべて治療院が行なっており、建物の建て方や素材も母屋を踏襲している。母屋へ行く際は内線で車を呼ぶことも可能。とくにパンチャカルマ中は日中の外出が推奨されない。
今回、自分はこちらのコテージに泊まったが、母屋より寧ろ落ち着いていて好きだった。母屋の宿泊客が時々散歩がてら様子を覗きに来るのも面白い。

治療とトリートメント
初めと終わりの2回、ドクターによるコンサルテーションが行われ、治療方針が決められる。その後は主に担当のセラピストと時間を打合せてトリートメントを受ける。ヴィレチャナの際は、アシスタントドクターが1時間おきに様子を見にきてくれた。ドクターの空き時間に治療についての相談やアーユルヴェーダに関する質問ができる。
基本的には1日に1トリートメント。パンチャカルマの場合、患者によってギーがあったりなかったり、ヴィレチャナがあったりなかったり、かなり変化するようだ。結果的に、受けるトリートメントの種類はMitraよりも少なそう。ある患者はひたすらスタンプマッサージとVastiだったと言っていた。
自分が受けたアビヤンガマッサージは常に1人によるもので、Mitraのような2人によるシンクロマッサージはなかった。
セラピストはよくトレーニングされており、マッサージの質はMitra同様高い。セラピストが固定のようなので、相性はあるかもしれない。

食事

かなり厳格にアーユルヴェーダ理論に基づいた料理が提供される。

朝食は主食(Kanjiかイドリー)と緑豆かチャツネ、昼食はチャパティと赤米に、カレー、サブジ2品、バターミルク。夕食は赤米にサブジ1品。いずれも部屋に届けられるので、静かに食べることができる。おかわりはできないが、あらかじめ内容や量についてのリクエストは可能。味つけは素朴で、たいてい塩とスパイス数種類のみ。これに加え、朝と夕方に甘いハーブドリンク、昼前にスープ、夕方に果物(蒸しバナナかザクロ)が出された。

土曜の夜はアクティビティホールでのグループディナーで、この日はおかわり自由、品数も多くいつもより豪華。グループディナーの後はなぜかカラオケ大会。

ホスピタリティ
スタッフは礼儀正しくフレンドリー。治療以外の要望にもできるだけ対応してくれる。自分たちは、占星術師を呼んでもらったり、キッチンで料理の行程を見学させてもらった。

アクティビティ
毎日、日の出と日の入り儀式がある。また、Satsangと言う、アーユルヴェーダについての講座も毎日開催されており、興味に応じて自由に参加できる。
曜日ごとに、料理教室、薬草ガーデンのツアー、不定期でヒンドゥーの伝統儀式が執り行われる。
外界と隔絶している分、内部のアクティビティが豊富。いずれのイベントも参加無料。

アトピーへの治療効果

ヴィレチャナ、アビヤンガともに効果を感じた。ヴィレチャナについてはMitraと違い、帰国後も2週間に一度自分で行うよう指導され、そのための薬も処方された。"6ヶ月これを続ければあなたの症状は治ります。"との言葉が、どれだけ自分を励ましたことか。これから毎月2回のヴィレチャナが楽しみだ。

総合コメント
トリートメントだけでなく、生活すべてを含めて治療と考え、プログラムが組まれている。患者もそれを求めてきているので、ストイックな人が多い。また、アーユルヴェーダだけでなくヨガや占星術、瞑想、カウンセリング、宗教など様々なボディとマインドワークに携わる人が多い。一言で言えば、人が濃い(もちろん、特定の病を治したくて来ている人もいる)。
好き嫌いは別れるが、理念に共感できる人にはとても居心地のいい場所だと思う。次回はぜひここでパンチャカルマを受けたい。こちらも10月から3月はハイシーズンで混む。4月5月は暑いので、雨季の始まる6月から9月がおすすめとのこと。



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